移民が多い国、世界ランキングで8位のカナダ。なんとカナダ全体の人口の約20%が移民で成り立っています。その積極的な移民の受け入れにより、カナダは人口の増加に成功しています。ただ、カナダにとっても、移民する人にとっても、良い事ばかりではなく、もちろん問題点も。今回はカナダの移民に関する諸々をまとめてみました。
カナダが移民を積極的に受け入れる理由
そもそもなぜ、カナダはこれほど移民に積極的なのでしょうか?
大きな理由としては、「労働力の確保」が挙げられます。というのも、カナダは、世界の面積ランキングで2位という広大な土地を持ちながら、実は人口がとても少ないんです。
「カナダの人口は、日本の首都圏の人口より少ない」という衝撃の事実を知っている人はどれだけいるでしょうか?数値的に見ると、カナダの人口は約3,500万人、首都圏の人口は約3,700万人なんです。これには仰天。
皆さんもご存知の通り、東京は、世界の都市人口ランキングで1位。ということはやっぱり日本は小さい面積に人間がいすぎる状態なんですね。日本と比べてしまうと極端ですが、確かに面積に対する人口を考えると、カナダにとって「人口増加」というのは大きな課題。さらに、カナダ社会はこれから少子高齢化へと進んでいくと予想されているので、今のうちにどんどん移民を増やして、若い労働力を確保していこうという流れなのです。
移民による「多様性」は、カナダの強み!
あのイケメンで有名なカナダのトルドー首相は「多様性はカナダの弱みではなく強みである。内閣はカナダそのものを表すものにしたい」と発言しています。
実際にカナダの内閣のメンバーたちは、出身国や性別で選ばれることはなく、女性が5割、難民や移民の大臣、LGBTIを含め様々なバックグラウンドを持った人で成り立っているようです。この「多様性=違い」こそが、カナダを強くしているのですね。
実際に私もカナダに暮らしていて思うのが、「みんなが違って当たり前」という考えが根底にあるので、自然に他者を認め合う文化がある気がします。そういう意味では、カナダでは無駄に他人の目を気にすることなく、自分らしく生きていきやすい国だと個人的に感じています。
カナダの不法移民問題
移民にオープンな分、問題もつきものです。特に不法移民については不安を感じるカナダ人も少なくないようです。実際にロイターとイプソスが発表した世論調査では、カナダ人の半分近くは不法移民の送還を希望していることが分かります。
数値的に見ると以下の通り。
- 不法にカナダに居住する人々の送還強化を求める人:48%
- 最近米国から国境を越えてきている人の米国送還を望む人:48%
- これらの入国者を受け入れて亡命申請の機会を与えるべきと回答:36%
- 不法入国者によってカナダの安全度が「低くなる」と回答:41%
- 安全度に変化はないと予想していると回答:46%
トルドー首相の不法移民に対する対応については、下記の結果に。
- 不満:46%
- 評価する:37%
- 分からない:17%
移民に対して十分な理解があるカナダとは言え、不法に入ってくる移民については別の話。国民の半数も不安を感じているようです。移民にオープンな分だけ、不法移民問題も増えるので難しい問題です。アメリカやヨーロッパで「移民反対」の動きがあるため、不法移民問題は増えいくと予想されています。今後、移民・難民を受け入れつつ、カナダ国民の不安も解消していけるような政府の対策に期待したいですね。
*参考:Newsweek
日本人もカナダに移民できるの?
もちろん、日本人もカナダに移民できます。他国と比べるとカナダに移民している日本人の割合は少ないですが、それでも毎年1,000人前後の実績はあるので、思い切ってチャレンジしするのもアリだと思います。
まず、カナダ移住する権利として大きく分けて、「永住権」と「市民権」があります。
- 「永住権」は、日本国籍を保持したまま、カナダで就労したり、家を買ったりすることができる権利です。5年間のうち2年はカナダにいる必要があります。逆を言えば、3年間は日本にいてもカナダの永住権を保持できるわけですね。
- 「市民権」は、選挙権が与えられ、カナダの国籍を取得できます。二重国籍が認められていない日本では、日本とカナダの国籍をダブルで持つことはできないので、カナダ国籍を取る場合は、日本国籍を諦めないといけません。
ここからは「永住権」に関してお話します。
カナダの永住権申請は「ポイント制」なので、年齢や語学能力、職歴、学歴…などがポイントとして加算されていきます。合計のポイントが高ければ高いほど、カナダ政府に必要な人材と判断され、移民への切符が渡されることになります。政府は「カナダ経済に貢献できる人なのか」をきちんと判断基準にしているということですね。
カナダの永住権の取得方法として比較的確実性が高いと言われているのが、「カナダの公立の大学や公立のカレッジを修了・卒業すること」です。というのも、そのあと取得できる”Post Graduation Work Permit” で最長3年、その後カナダに残って働くことができるからです。そこでカナダでの労働経験を積んで、永住権の申請に進むのが確実なやり方だと言われています。実際に私の友人も何人かこのルートで永住権を取得しました。
でも、それは学費や生活費などで、かなりお金がかかりますよね。そんな方は別の方法でも移民できる可能性があるので、もしご興味のある方は、移民コンサルタントに一度相談してみるといいかもしれません。ネットで検索すると、日本にもカナダにもいくつかエージェントがあるので、初回無料相談のようなサービスを使ってみたらいいと思います。
もちろん、ネットだけでも沢山情報が手に入ると思いますが、カナダの移民に関するルールはちょくちょく変更が入ったりするので、最新の情報に注意しておくといいと思います。
正直、私自身も今現在移民の方法や情報を集めているところなので、ざっくりとした説明になってしまいました…。もっと情報が集まったらまた記事にしますね。
まとめ
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。今回は少し難しいテーマでしたが、いかがでしたでしょうか?カナダが「移民歓迎」の姿勢を崩さないのは、人口増加や労働力の確保が目的として背景にありますが、それだけではなく、移民による多様性こそがカナダの強み、というカナダの良さも少しお伝えできたかと思います。もちろん難しい問題もありますが、この個性やバックグラウンドなどの「違い」を受け入れる姿勢が世界中に広がれば、世界平和は夢ではないんじゃないかなぁとこっそり思っています。